学部・大学院のTOPICS 医療現場の課題解決に挑む文医融合「ほとめきプロジェクト」「くるメディアプロジェクト」― 医療センター病院長へ成果報告
文学部情報社会学科では、医学部を持つ本学の強みを活かし、医療センターと連携した課題解決型授業「ほとめきプロジェクト実習演習」(江藤智佐子教授担当)を毎年実施しています。今年で8年目となるこの取り組みは、医療現場の課題に学生が真摯に向き合い、その解決策を探る実践的なプロジェクトです。
また、メディアを活用した患者サービスの「くるメディアプロジェクト」(伊藤慈晃助教担当)が、本年度からプレスタートしました。
11月21日には、プロジェクトの進捗状況を報告するため、医療センター病院長へのプレゼンテーションが実施されました。
プレゼンテーションには、2つのプロジェクトメンバー(3年生7名、4年生2名)より、惠紙病院長、原﨑看護部長をはじめとする医療センターのスタッフに説明し、活発な意見交換が行われました。
「ほとめきプロジェクト」:医療現場の「困った」を解決!
この日、「ほとめきプロジェクト」の学生たちが発表したのは以下の4件です。患者サービス向上やスタッフのモチベーション向上につながる、アイデア豊かな取り組みが報告されました。
1. 尿パックカバー開発プロジェクト報告
(松永聖奈、市川将喜、岩尾日菜子)
一昨年前から取り組んできた尿パックカバーの開発について、企画コンセプトから開発プロセス、福岡県SDGs「ふくおかオープンラボ」での紹介事例などを詳細に報告。多角的な視点から課題を捉え、実用化を目指す取り組みです。
2. 医療センターリーフレット改訂版制作の報告
(森山夏衣、辻柚芭、赤峰詩月、伊波恋音、松永聖奈、幾度愛香)
既存リーフレットの改訂(Ver3.3)について報告。大学との連携を印象付けるための文字色の変更(緑)、新キャラクターの追加による親しみやすさの演出、マップの視認性の向上などが盛り込まれました。
3. キャラクターシール制作進捗報告
(森山夏衣、辻柚芭、赤峰詩月、伊波恋音、松永聖奈、幾度愛香)
医療センターの理念である「心が通い、信頼される医療」を形にするため、制作したキャラクターのシール化を提案。アルコール耐性や色、サイズなど、現場の使い勝手を考慮した工夫を報告し、フクロウのキャラクターのネーミングを病院長へ依頼する一幕もありました。
4. 看護部缶バッチ制作進捗報告
(伊波恋音、幾度愛香、市川将喜)
看護師のネームプレートに装着する看護部キャラクター「ほっとポポ」の缶バッチ制作。理念を「可視化」し、コミュニケーションツールとして活用することが狙いです。デザインやサイズについて現場の意見を求めていることが報告されました。
「くるメディアプロジェクト」:「おもひで散歩みち」の制作報告
(中西準也、熊川創太)
これは、メディア演習を応用した患者サービスのプロジェクトです。
病院利用者から募集した「思い出の場所」にまつわる手紙をもとに、学生が実際にその地を訪れ撮影・編集した動画制作企画を報告。利用者の思い出に心を寄せ、感情的な繋がりを生み出すことを目指します。
病院と学生の対話から生まれる信頼と協働
どのチームも病院スタッフから出された課題に対し、長い時間をかけて真剣に取り組んでおり、医療センターとの間に強固な信頼関係が築かれています。
病院と学生が対話を重ねて協働することで、患者サービスの改善や、働くスタッフのモチベーション向上につながる具体的な施策が次々と生み出され、実践されています。
惠紙病院長、原﨑看護部長をはじめとするスタッフからは、発表内容に対し、以下のような多岐にわたる前向きなコメントが寄せられました。
<「ほとめきプロジェクト」へのコメント>
「尿パックは課題を多角的に捉えて開発されており、これから広めていきたい」
「リーフレットはマップが見やすくなった」
「キャラクターシールは、私たちがここで働いた証、記念にもなるものをと考えられているのがよかった」
「小児科での活用も期待できる」
「缶バッチの背景カラーは、4つの凄腕ナースを表現するグラデーションのアイデアが良い」
<「くるメディアプロジェクト」へのコメント>
「動画はいい企画だが、若者言葉をもう少し一般的な言葉に置き換えると、より多くの人に伝わる」「工夫を重ねて、さらにブラッシュアップしていってほしい」
学生たちは、今回のプレゼンテーションで得られた貴重な意見や感想を活かし、今後もプロジェクトをさらに洗練させていく予定です。